人を見る目
こんばんは、暗闇列島です。
被害がこれ以上大きくならないよう祈っています。
昨日に続いて、新入社員時代のことを書きます。
新入社員の私が配属されたのは、営業店の窓口だった。
窓口にはいろいろなお客様が来た。老若男女、日本人外国人、良い人悪い人様々だ。
人見知りで愛想が悪く、手際も悪い私ははっきり言って、窓口向きの人間ではなかった。
だから今はとばされて、お客様の対応をしないバックオフィスにいるのだ。
それはさておき、不得意ながらも必死で働いていたわけだが、ある日、困ったことがあった。
来店されたお客様で外見からは男女の区別がつかない方が来たのだ。
年は60歳以上だと思ったが、当時の私は年齢を重ねた方がいくつぐらいなのか、さっぱり
分からなかったのだ。
60歳と80歳の区別がつかなかった。高齢者はみな同じに見えた。
だから本当は70歳かもしれないし、80歳かもしれない、とにかく高齢者の方が店舗に入ってきた。
服装は地味な色目で、髪はごま塩、かなり塩多め、顔は化粧気はなく顔色はあまりよくない。
その方を見た途端、私は目が釘付けになってしまった。
「この人はどっちなんだ!」その方はいくつかある窓口の中で私のところへ辿り着いた。
「声を聴けばどっちかわかるはず。落ち着け自分。」自分に言い聞かせて挨拶をした。
「自分の名義で○○○したいのですが。」その方は高くも低くもない小さな声で言葉を発した。
そして健康保険証を差し出した。当時の健康保険証は現在と違い、紙製で家族全員の名前が載っていた。
そこには男女の名前が一人づつ載っていた。
そこから先を覚えていない。男だったのか、女だったのか、後にも先にもこの方以上にあいまいな
人には会ったことがない。
私の中で性別を超えた特別な存在になったのだ。
でも今この方にお会いすればきっとわかるのではないかと思う。
私も年齢を重ねて多少は人を見る目が養われたはず。
今、窓口業務をやると新しい発見がいろいろできそうで、面白いかもしれない。